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2021/10/11 公開

相続開始前の3年以内に被相続人から贈与を受けていた場合

 

前回までで、相続税の計算体系と、その申告についてご説明しました。

今回は、生前に被相続人より相続人が贈与を受けていた場合についてご説明します。

 

生前に贈与が行なわれた場合には、贈与税の申告、納付が必要(贈与税の基礎控除額以下である場合を除きます。)になります。そして、相続開始時点ではその財産はすでに、被相続人のものではなく、相続人のものになっています。しかし、相続開始前の3年以内に贈与されたものについては、例外的に相続税の計算上、相続財産の価格と合算されます。

すでに贈与しているにも関わらず、計算の持ち戻しが行われるのです。

これは、亡くなることを予期して、直前の相続税の課税逃れを防ぐためのものです。

 

この場合、先の贈与時に贈与税が発生し、相続時にも相続税の計算にも含まれ、2重に課税されることになりますので、相続税の計算では、贈与時に負担した贈与税は相続税から控除することになっております。これを「贈与税額控除」といいます。

なお、先の贈与時に財産の価額が基礎控除額以下で、贈与税がかかっていない場合であっても、相続開始前の3年以内ものは適用されます。

 

① 相続財産の価額 + 相続開始前の3年以内の贈与財産の価額

② ①を元に計算した相続税額-当該贈与時の贈与税額

 

この贈与税額控除があることで、相続対策として駆け込みでの贈与が難しくなります。ただ、この規定は、「相続や遺贈により財産を取得する人」を前提にしています。そのため、相続の際に、財産取得の予定がない方に対する生前贈与であれば、この規定のことを懸念せず贈与を行うことができます。

例えば、相続人でない孫や相続人の配偶者などです。

 

いかがでしょうか。相続対策はどうしても、後回しになりがちですが、

生前の贈与を利用し、予め時間をかけて計画的に行えば、節税の余地があります。

将来の相続税の負担が気になられる方はお早めに税理士にご相談ください。

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