2021/05/13 公開
被相続人の預金の一部払い戻し制度
相続が発生すると銀行口座が凍結されてしまうことはご存じでしょうか?
預金口座が凍結されると、相続人であっても原則として遺産分割協議前に払い戻すことはできません。
そのため、生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済などの資金需要がある場合にも払い戻しができず、不都合が生じます。
この点について、2018年に民法が改正され、「遺産分割前の預貯金の払戻制度」が創設されました。
この改正により、遺産分割協議前であっても、預貯金の一部ついては支払いを受けることができようになりました。
預貯金の一部とは、具体的には、
預貯金の額 × 3分の1 × 払い戻しを行う共同相続人の法定相続分
の額までは遺産分割協議前であっても払い戻しを受けることができます。
※ただし、1つの金融機関につき上限150万円という制限があります。
遺産分割協議をするには、被相続人の出生から死亡までの戸籍の収集、遺産の分け方を相続人全員で決定、遺産分割協議書に相続人全員が署名・捺印、全員の印鑑証明書の添付が必要になり、時間がかかります。
そのような場合に当面の費用を工面するために預金の一部払戻制度をぜひご活用ください。
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記事執筆者
東大阪の司法書士事務所、大阪市北区のみお綜合法律事務所勤務を経て、平成20年、司法書士丸山事務所を東大阪に開設。平成24年6月事務所名を司法書士事務所リーガルクリニックに改称し、事務所を近鉄布施駅前に移転。
平成27年1月、司法書士法人を設立し、大阪事務所・東大阪事務所で業務を行う。
法律事務所では貸金返還訴訟等の債権回収業務・多重債務問題・建物明渡請求訴訟を主に経験。
従来の司法書士業務である不動産登記・商業登記だけでなく、遺言、相続手続支援、多重債務問題、後見業務、滞納家賃問題に取組んでいます。