2021/07/07 公開
相続人が相続や遺贈により取得した財産については、非課税とされるものを除き相続税がかかります。
ただ、この財産の価格から、「被相続人が残した一定の債務を差し引く」ことができます。これを「債務控除」といます。
今回はこの債務控除について具体的に確認します。
1 差し引くことができる債務
① 相続開始の際に、現に存し確実なもので具体的には次のものが該当します。
・金融機関や個人などからの借入金
・公共料金等の未払金、
・未払医療費
・死亡時に未納の税金(固定資産税、住民税)、
・事業の買掛金
・賃貸物件の敷金
② 被相続人の死亡後、申告により確定する所得税、消費税
③ 葬式費用で一定のもの
これは被相続人の債務ではありませんが、債務として控除が認められます。
・お通夜、本葬費用
・火葬、埋葬の費用
・葬式の際のお布施
2 差し引くことができない債務
① 被相続人が生前に購入したお墓、仏壇、仏具など非課税財産の未払債務
② 住宅ローンの残債で、団体信用保険の保険金により補填されるもの
③ 葬式費用のうち、下記のものは控除できません。
・香典返し
・墓石や墓地の買入費・借入費のためにかかった費用
・初七日や法事などにかかった費用
④ 相続手続きの際に発生する費用で、下記のもの
・相続に関する紛争解決に要した弁護士費用
・相続税申告に伴う税理士費用
・相続財産の名義変更に伴う司法書士報酬、登録免許税
相続税の計算は、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産(債務)についても考慮して計算されます。
債務控除は、相続が発生しないと想定できないものもありますが、借入金や事業債務など相続税額に大きな影響を及ぼしますので、相続税を見積もるうえでは考慮しておかれるといいと思います。
相続税の債務控除に関するご相談はこちらから
記事執筆者