2021/11/12 公開
相続税の計算は、相続財産の実際の取得状況に関わらず、法定相続人が法定相続分に応じ取得したものとしてそれぞれの計算を行い、その合計額を基に各人の実際の取得価格により按分します。
この算出された各人の税額から、数種類の税額控除が行われます。
前回はそのうちの一つ「贈与税額控除」について説明しました。
今回は「配偶者の税額軽減」についてご説明します。
これは被相続人の配偶者が、遺産分割や遺贈により財産を取得した場合には、その財産のうち、次のいずれか多い金額まで、相続税がかからないという制度です。
(1)1億6千万円
(2)配偶者の法定相続分相当額
例えば、相続人が配偶者と子1人、相続財産が2億円の場合
配偶者の法定相続分は1/2で、1億円(2億円×1/2)と1億6千万円の多い方の
1億6千万円までは、財産を相続してもこの制度で相続税がかからないことになります。
同じ例で、相続財産が6億円の場合は、配偶者の法定相続分は、3億円(6億円×1/2)になりますので、1億6千万円より多いため、3億円までが相続税がかからないことになります。
上記の例からもわかると思いますが、配偶者の相続は最低でも1億6千万円まで相続税がかかりません。
配偶者の税額軽減をうけるためには、一定の書類を添付した、申告書を提出することが要件になります。また、配偶者の税額軽減は遺産分割で実際の取得した財産が対象になりますので、申告期限までに未分割のものは税額軽減の対象になりません(ただし、申告期限から3年以内に分割すれば一定の手続きのもと税額軽減の対象にすることが可能です。)。
いかがでしょうか。配偶者の税額軽減は、軽減額が大きいため是非活用したいものですが、
配偶者の方が多額に相続しすぎると、その配偶者の方の相続いわゆる2次相続で、逆に相続税の負担が多くなることもあります。
どのように遺産分割をするのか、税理士とよく相談したうえ活用することをおすすめいたします。
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